2015/12/22

葛藤と、それを受け入れること


自分のお店を持つということは、ゲイバー従業員の夢の代表格として真っ先に思い浮かびます。
もちろんみんながみんなそうというわけではないですが、、
芸妓をあがって小料理屋を持つみたいな、昔の映画によくあったあの感じです。

だけども、お店を出したくて必死にお金を貯めたり出資者を募っている人たちを尻目に、
私はどこか他人事でいました、どこか別の世界のお噺みたいだなとすら感じていました。
自分のお店を持つということは、自分がそのお店の顔になるということです。
私がイニシアチブを握って主動している様を想像できなかったし、なにより注目されることが苦手というのもあり、
自分がお店を持つなんて、未来永劫ないと思っていたのです。

けれども、なにか人智を超えた大いなる力によってねじ曲げられる運命もあれば、
人為的な要因で動き始める運命もあるようです。

そんな私に、お店を出さないかという話がもたらされました。
自信がないのではじめは断りました。向こうも冗談でそういう話をしているのだろうと思ったからです。
しかし相手は本気だったようで、「自信は経験からしか生まれないよ」と私を後押ししました。
体重が減るほど悩んで、考えて、やがてなにかを観念して、Yesと答えました。

そう、私は水商売が好きなのです。これありきだったのです。
リーダーシップを取るのが下手とか、耳目を集めるのが怖いとかは、私はそれを、
自力で一歩を踏み出すことから逃げるための言い訳にしていただけなんだなと気づきました。
失敗への恐怖は、裏を返せば、成功への恐怖でもあります。

これは私の極めて牡羊座的な性質なのですが、
同じ後悔なら、やればよかったより、やらなきゃよかったのほうがいいなと考えたのです。

目の前に新しい展開を提示してくれる人がいる、それを応援しようとしてくれる人がいる。
ただそれだけで、乗らない理由はないのかな、と思ったのです。